2019/02/22 08:42

世の中を見渡すと、多くの商品であふれています。
その多くは、大衆のためのマスプロダクト。
分母(マーケット)が大きいからでしょうか。
目を凝らすと、あるスキマが見えてきました。
それは、ショップのオーナーやデザイナーといった専門職の人達のために作られた商品が少ないということ。
専門的な分野であるほどマーケットは小さくなりますが、世間や地域へ新たな価値観を生み出してくれているのは彼らです。
もちろん、店舗の内装はフルオーダーなので全てこだわり切れます。
しかし、運営で使うツール全てにこだわり切れるかというとそうでもない。
その中でもA看板は特に、
「選択肢が無いが故に妥協せざるをえないツール」
の象徴に思えるのです。
内装設計時はファサード・エントランスのサイン計画までは立てても、オーナー、デザイナー共に運営に必要なツールまで考えが行き届きにくい。
いざオープンが近くなり、オペレーションが明確になってきて「日替わりメニューをどうPRしよう」「オープンしてからもっと集客を上げよう」など、後から気づいてA看板が必要になる。
内装設計段階での優先順位は低く、運営上の優先順位が高い。
故に「デザインはさておき運営には必要だから、取り急ぎネットで購入できるほどほどの価格とデザインのA看板を…」と、エントランスに並ぶことになります。
現場で一番の集客の起点になるにもかかわらず です。
そんな状況を設計したデザイナーが見たら「相談してくれれば…」と十中八九思うことになります。
ここで、十分な選択肢が用意されていれば、オーナーも、デザイナーも、お客さんも、みんながほんの少し満たされると思うのです。
その細やかな充実は、ほとんど意識されるようなものではないかもしれないけれど、肌感覚で伝わるものだと信じています。
世の中の全てのA看板が、ベストチョイスになりますように。
